ミャンマー調査報告  第2回 土と水と太陽の国ミャンマー

第2回 土と水と太陽の国ミャンマー


ミャンマーの国土面積は68万平方キロメートル。日本の約1.8倍。
そこに日本のおよそ半分の6000万人ちょっとの人々が住んでいます。
国土の南半分は平野部が占めているため、実際は数字よりもさらに人口密度は低い印象です。



そのミャンマーの南部はエーヤワディー(イラワジ)川の広大なデルタ地帯にあたります。
大河エーヤワディーの運んできた肥沃な土が広く堆積した土地を、大河から引かれたクリークを伝って豊かな水が潤します。
この肥沃な土地に、広大な田園が広がります。




ミャンマーには雨季・乾季・暑季という3つの季節がありますが、一年を通じて暑いため、米は一年に二回収穫されるそうです。
そう、ミャンマーは豊饒な農作地帯なのです。
実際、ミャンマーは、かつてタイなどと並ぶ有力なコメの輸出国でした。
ところが現在はあまりコメは輸出されていません。
それどころか、東南アジアでももっとも経済的に貧しい国の一つです。
理由は、20年以上前に成立した軍事政権の失敗にあります。
軍事政権は経済を鎖国的にし、また強権的な政治を行ったために、欧米諸国からの援助が打ち切られたばかりか、経済制裁まで受けることになりました。
以後、ミャンマーの経済は「失われた20年」ともいえる状態になります。




農村をいくつも訪問しました。
電気はもちろん通っていません。
それどころか、飲み水もたいへん不衛生で、貯水池にまで毎日くみに行かなければ行けない地域もありました。
他方、大河に近い低地の集落では、床下によどんだ水が滞り、伝染病を媒介する蚊の発生源にもなっています。







救われるのは、ひとびとがなんとなく明るく無邪気なところです。
同じ貧困でも、寒冷地帯や乾燥地帯での貧困は、死への道を近くするように思います。
しかしここ、ミャンマーは豊かな土と水、そして太陽の国です。
水田には年に2回の米がなり、大河では大小さまざまの魚介が獲れ、そして果樹には色とりどりの果物がなります。
「なんとなく食べていくには困らない」
貧しくて厳しい生活の中にも、そんな感じが、そこはかとない人々の明るさにつながっているのかもしれません。






現在進行形の民主化は、今後、先進諸国の経済制裁解除と、開発援助の開始を促す可能性が高いです。
援助はいいことばかりではありませんが、この豊饒で明るい土地に、さらなる豊かさが訪れることを願いたいと思います。